ちひろ美術館・東京 2002

絵本画家のいわさきちひろが生前に自邸として使用していた場所に建設された絵本美術館である。典型的な住宅密集地に位置することから変則的な敷地形状であるが、これを生かすために建築を4ブロックに分けて構成し、それらを回廊でつないでいる｡
ここで重要なのは中庭を中心とした「内に向かう快適な視線」である。中庭を介してたくさんの視線が錯綜する｡私たちは敷地境界側の壁面に光を集め、中庭から建築内部へと人の視線を誘導する効果を狙った。ほっと一息つける美術館づくりを目指して柔らかく色温度の低い照明環境を整えた。